繁華街によくある怪しげな健康エステの実態とは?
俺が深夜の仕事をしていたときだった。場所は六本木。夜の九時から朝五時まで働いて始発で帰るっていう生活。それはそれなりに楽しかった。そのころの六本木は活気があったし、景気も今ほど低迷してなかったし。そんな夜に「気になる存在」がいた。それは通りをウロチョロする東洋系の女性たち。すれ違う外国人男性に話しかけては、断られて、また別のターゲットを探しているというかんじ。中には、結構可愛い女の子もいたりして、どういう商売なんだろう? と仲間内で話題になっていたのだった。彼女たちは、その可愛い子もいるけどおばさんも結構いたのだ。だから「露骨な売春」ではないだろうと予想できた。しかし、店の名刺を渡すそぶりも見せないし、謎が深まるばかりだった。そんなとき、俺はその可愛い子と話をするチャンスに巡り会えた。ちょうど、お客さんからジュースを大量にもらったときだった。その一本を近くの通りにいた女の子に渡したのだった。「お疲れさま。よかったら、これ貰いものだけど飲んでよ」「ありがと」片言の日本語で話す女の子はタイあたりの国籍なのかもしれないな、と思った。少女のような笑顔でジュースを受け取ってくれた。それからは顔を合わすたびに目で挨拶をする仲になったというわけ。それから、俺は忙しい毎日を過ごしていった。一度、その女の子に聞いただけだった。「いったいどういう仕事してるわけ?」女の子は即答した。「けんこうえすて」健康エステ。どうやらマッサージか何かだろう。客引きをして、そのマッサージの店に連れていくという手法なのだろう。そして、また月日が経ち、俺はとうとう転職することになった。「最後に健康エステでも受けてみよう」そう決心した俺は女の子に話しかけた。「ねえ、健康エステしてよ」女の子は笑顔で頷いて雑居ビルの三階に案内してくれた。「15分3000円。プラス5000円で口のサービス」あぁ、そういうことかと納得しつつも俺は逃げ出していた。なぜなら、その可愛いと思ってた女の子を明るい照明の下で見た瞬間、髭がうっすら生えていたからだった。